FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

剣道とは、なにか

井蛙剣談 その三十一
剣道とは、なにか

 数日前、皆さん方もよくご存じの有名選手が逮捕されるという報道がありました。
全日本選手権や世界大会で頂点を極めた剣士が逮捕されるという事案は、剣道界はじ
まって以来のことです。斯界に身を置くものとして大きな衝撃を受け、精神的動揺を
隠すことができません。

 事案のことについては、今の段階で軽々には申せませんが、こうした不祥事につい
ては剣道修行者として、また警察に奉職(昭和45年~平成19年)する者として、昔か
ら懸念をいだき続けてきたことでありました。

 このたび、いよいよ現実のものとなってしまった、という思いが強くあります。こ
れを機会に、ずっと自分なりに考えを巡らせてきたことの一端を紹介させていただき
ます。
 それは昭和59年、私が警察大学校に入校したときに作成した論文で、卒業時に提出
したものです。

 私は、昭和45年、23歳で兵庫県警察に採用されました。初任教養後、警察署勤務を
経てまもなく機動隊勤務となり、出動や警備訓練等のかたわら、いわゆる「特練」と
言われる選手生活を十年あまり送りました。自分の好きな剣道が目一杯できるという
喜びにひたる毎日でした。
 しかし30歳を過ぎたころから、「剣道とは、なにか」という命題ともいえるものに
行きあたり、その後、自問自答の修行時代が続きます。

 そして昭和59年4月、警察大学校「術科指導者養成科」に入校の機会が与えられま
した。この警大への入校は、剣道の指導者を志す者にとって登竜門とされています。
 私にとってこの警大入校は、自己の命題を真正面からぶっつける契機となり、入校
期間の半年、自分で考えられるあらゆる努力を尽くし書き上げたものです。
 昭和59年といえば、28年前、37歳の時であります。思考も文章も拙く、皆さんにお
見せするのは恥ずかしいものですが、あの当時の切なる思いが下敷きとなって今日の
自分につながっていると考えますので、読むに堪えられない部分には若干の修正を加
え、ここに掲載させていただきます。

 小論の題名は「警察倫理の確立 -主として剣道の修錬を通じて-」で、ここに掲載
させていただくのは、その中の「剣道の倫理的意義について」という部分を抜粋した
ものです。 なにせ30年ほど昔のことゆえ、時代をタイムスリップさせてお読み頂け
れば幸いです。

警察倫理の確立
-主として剣道の修錬を通じて-
昭和59年9月13日
<中略>
剣道の倫理的意義について
1.はじめに
<中略>
 戦後低下しつつある国民の道徳意識は、今や建国以来最悪とも言われている。これ
に歯止めをかけるべく武道教育の必要性が評価され、今日の少年剣道をはじめとする
各種武道ブームを生んだ。
 警察では明治期以来、表芸として柔道・剣道の訓練を盛んに行い、日本の伝統的精
神文化としての武道を正しく継承、発展させることに貢献すると同時に、武道の特性
を通じて高いモラルの組織を維持し、国民の信頼を得てきたものと確信する。
しかし、警察を取り巻く環境は厳しく業務量の増大と複雑困難化等により、訓練時
間の確保が難しいという状態が恒常化し、組織全般が武道衰退の状況に陥っている。
 警察における武道衰退傾向は、現在の病的な社会情勢と相まって、少なからず警察
官のモラル低下の原因になっているものと考える。
<中略>
2.剣道とスポーツ
 最近、「剣道は武道かスポーツか」の論議がよく行われている。
 これを警察術科の面から考えるならば、当然「武道」でなければならない。しか
し、選手権大会などの試合に関して考えてみるならば、決して競技スポーツ的な要素
を否定することはできない。
 剣道人の中にはスポーツを軽視し、自らスポーツマンと同等視されることに違和感
を抱く人が少なからずいる。この偏狭さが世間から剣道に対する理解を遠ざける一因
となっているのではないか。
 剣道範士の井上正孝氏は、その著『正眼の文化』(講談社)で、剣道とスポーツにつ
いて次のように述べている。

[剣道人がいたずらにスポーツを蔑視して、「剣道はスポーツに非ずして武道だ」な
どと高唱する所以のものは、剣道とスポーツの発祥の次元における感情であり、そう
した観念は現在では余りにも現実から隔絶した痴人の夢に類する錯覚に過ぎない。
…中略… 剣道は分類的にはスポーツである。ただし、剣道の特性を生かして行かな
ければならない。剣道の特性を生かして、これを社会に実践すれば、剣道は剣道とし
て他に異なる卓越性も認識され、その真価も正しく評価されるであろう。]

 要するに、武道かスポーツの分け方ではなく、問題はその中身である。また、井上
氏は同書の中で「剣道は実践倫理である」と説き、「その指導者たる者は常にその先
駆者として自らも率先し、大衆も指導しなければならない」と教えている。
 この「剣道は分類的にスポーツである」を受け、「剣道は実践倫理である」にした
がい浅学を省みず、心理学や美学あるいは哲学的視野から現代剣道の倫理的意義を分
析し考察を試みる。
     以下、次の項目に続く
3.身体の鍛練と健全な精神の問題
4.技術の美について
5.美と倫理
6.伝統文化として見た武道の倫理的価値
7.現代剣道の倫理的価値
8.試合について倫理的考察
以上
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

新宿区剣道連盟

Author:新宿区剣道連盟
「井蛙剣談」への思い

 「井の中の蛙大海を知らず」と自覚しつつ
「井の中は誰よりも知っている蛙」に成り代わり書き進めてまいります
つたなき指導の一環とお受け止めいただければ幸いです
               真砂 威

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。