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躍進を遂げる世界剣道- 憂慮すべきことも -

その三十

躍進を遂げる世界剣道

- 憂慮すべきことも -

 前回は、世界剣道選手権大会を観戦しての感想を申し上げました。

 ユーチューブ等でご覧になった方はおわかりでしょうが、剣道の世界大会も準決勝・決勝ともなると、ご多分にもれずチャンピオンシップスポーツの様相を呈してまいります。

 もっとも世界剣道選手権大会を英語でいえば「World Kendo Championship」(WKC)となるわけですが…。しかし世界の剣道愛好家の多くは、この大会のことを勝利至上主義のチャンピオンシップとはとらえておりません。

 海外の特に西欧諸国の剣道愛好家は、もともと日本の伝統文化に興味を持ち、その息吹にふれてみたいという動機で剣道を志した人が多いといえるでしょう。なかには禅と結びつけて精神修行として行っている人たちも少なからずいます。

 そういう人たちにとって3年に1回行われるWKCは、「世界剣道祭」と言えるかもしれません。

 その15WKCが5月25日(金)~27日(日)の3日間、イタリア北部のノヴァラ市で行われました。会場となったノヴァラ・スポーティング・ビレッジ体育館には、大会史上過去最多となる合計48カ国・地域、545名(男子337名、女子208名)が参加して熱戦がくり広げられました。

 WKCは日本国内の大会とはやや趣が異なり、各国の国旗が掲げられるなか男女合同の大会ということもあって、世界の人びとが色彩豊かに一堂に会す光景はまことに壮観であります。今までに積み重ねた15回・42年の歳月を物語るものです。また各会場で繰り広げられる対戦はいずれも親善色にあふれ、まさに平和の祭典と呼んでしかるべきものであり、世界剣道の躍進というものをまのあたりに感じさせます。

 また、試合もさることながら彼らにとって最大の楽しみは、終了後に行われる親善稽古にあります。各国の選手、審判、役員その他関係者がそれぞれの立場を超え、所狭しと剣を交える光景は、文字どおりの「交剣知愛」で、まさに世界平和の縮図を見るようです。

 このようにしてWKCは、回数を重ねるごとに参加国・地域、出場者数は順調に増加し、規模を拡げてまいりました。

 現在は3日間で、男女の個人・団体、4種別を実施していますが、これ以上参加国が増えると3日間で消化しきれなくなるおそれがあります。その際、合理化の対象とされかねないのが親善稽古です。今回も試合終了が延び、稽古時間が削られることとなりました。このまま推移すれば近い将来、親善稽古が消滅してしまうのではないかと、危惧の念を抱くものです。


 一方、今年はオリンピックの年で、来月27日にロンドンオリンピックが開幕しますが、「将来、剣道をオリンピック種目に…」という話は、日本国内において少なくとも公には行われておりません。また、国際剣道連盟(FIK)加盟国の中には剣道をオリンピック種目化させたい意向を示す国もありますが、ここでも正式に議論されたことはないようです。

 といいましても全剣連は、日本オリンピック委員会(JOC)に名を連ねておりますし、またFIKも、「スポーツアコード」という国際オリンピック委員会 (IOC)承認のスポーツ団体のメンバーでもあります。ですから剣道の組織が決してオリンピックに背を向けているわけではありません。

 ただ、「剣道とは」と考えたとき、果たしてオリンピック種目として堪えられるか?、ということです。

 それは審判の難しさに尽きると考えます。全剣連の『剣窓』7月号、15WKC観戦記「肉薄する日韓戦」をご覧いただいた方はおわかりと思いますが、この観戦記はそのことを示すものです。

 まだ『剣窓』を購読されていない方のためにその原稿を末尾に添付いたします。どうかご覧いただき、皆さん方とともに「剣道のこれから」について考えてみたいと思います。

つづく


※ 『剣窓』未購読の方には、この際ぜひ購読を薦めいたします。

 お申し込みはこちらから→ http://www.zenkenren-shop.com/jp/kenso/index.html

肉薄する日韓戦

剣窓編集小委員会委員 真砂 威

 日韓戦が世界大会における優勝争いの定番となっているが、この度その象徴となった初日の男子個人戦をみてみよう。

 初戦から各選手順調に駒を進めるも、3回戦で大城戸がT.KIMに、4回戦で畠中、続いて準決勝で古川がW.KIMと、それぞれ韓国選手に敗れる。いまさらに、ことごとく前に立ちはだかる韓国選手の強さに息を呑む。決勝は日韓戦となり、鍋は畠中と古川を破った韓国のW.KIMと戦う。

 昨年、全日本選手権連覇を果たした鍋と韓国W.KIMの戦いは、閑かな立ち上がりではじまる。鍋の武器はググッと攻め入り一気に切り込む面技。決勝でもW.KIM相手にその鋭い面がいつ炸裂するかに関心か集まる。早々から強気に攻め入る鍋、それに合わすとも外すとも微妙な間づかいで対するW.KIM。ややあって鍋、意を決し得意の面を放つ、がW.KIMすんでのこと、これをしのいで胴に抜く。一瞬、館内は響めきをみせるが、刃筋不十分と見たか有効に至らず。だが、鍋優勢の流れを変えるに充分な凄技であった。その後の鍋は、得意の面技が出せぬまま延長戦に突入する。延長に入ってもしばらくは積極的に相手をとらえようとする鍋、だが、いつしかその強い気勢から、しだいに軽やかな足づかいにかわる。間合と呼吸をはかって、打ち気を内に秘め機をうかがう。ややあり、直線の突きならば胴は抜かれまい、の心算を潜ませて、か。一刹那、渾身の勢いで踏み込み、諸手〝突き〟に決める。

 2日目は女子個人・団体が行われたが、個人戦では出場選手4人全員が4強に勝ち上がる善戦を見せた。また団体戦も決勝を韓国と戦い、混戦ながらも取りこぼすことなく優勝をなしとげる。

 3日目の男子団体は、予選リーグから各選手それぞれ新興国チームに対しても全く手心を加えるゆとりも見せず、全力を出しきって駆け上がる。韓国との決勝は、2勝1分の圧勝ムードで副将戦を迎えるが、一転、木和田あわやの二本負けを喫す。結局、大将決戦にもつれ込み、鍋が時間いっぱい戦い、からくも引き分ける。これにより全種別、日本優勝で幕を閉じる。試合内容は、本誌成績表と全剣連ホームページのYouTube公式チャンネルを参照のこと。

 さて、日本選手の戦いぶりを見ると、世界大会特有というか勝負の熾烈さが画面を通して如実に伝わってくる。切迫した場面で極度に緊張した応対が痛切に感じられる。全日本選手権大会などで奮然果敢に戦うあの選手が…、と。

 以前、日本国内の大会で試合時間の大半が鍔競り合いで占められていることが問題視された。それをふまえ全剣連では、「鍔競り合いに入った場合、積極的に技を出すか積極的に解消に努める」ことへの指導を重視する。また、反則とするか否かについては、「①正しい鍔競り合いをしているか②打突の意志が有るか③分かれる意志が有るか」の視点をもって的確に処断することとした。

 こうした取り組みが実をむすび、昨今、国内での主要大会における鍔競り合いの問題は一応の解決をみることとなった。しかし日本で行っている改善のための様々な取り組みは、いまだ世界的なものとなるに至っていないのが現実である。

 鍔競り合いを解消しようとすると、そこをつけ込まれる。解消途上に仕掛けられた場合、いきおい過敏な反応となってしまわざるをえない。どうか日本選手のジレンマと忸怩たる心中をお察しいただきたい。

 日本の剣道は、強くあって世界の先頭に立ち、しかも内容の良否が問われる立場にある。良い内容の剣道を世界に示すためにも、日本が取り組む改善への諸施策を、強い指導力でもって国際的に進展させることが喫緊の課題であると感じた次第である。
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プロフィール

新宿区剣道連盟

Author:新宿区剣道連盟
「井蛙剣談」への思い

 「井の中の蛙大海を知らず」と自覚しつつ
「井の中は誰よりも知っている蛙」に成り代わり書き進めてまいります
つたなき指導の一環とお受け止めいただければ幸いです
               真砂 威

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