早稲田大学剣道同好会50周年に寄せて

その十八

新宿区剣道連盟の中で活動し、「新宿区スポーツセンター」の道場で稽古をともにしている早稲田大学剣道同好会が、このたび創設50周年を迎えました。
 本会の50周年記念行事は、12月11日(日)に丸一日かけて実施されました。まず午前9時半から新宿区スポーツセンター剣道場において合同稽古が行われました。
 稽古会には120名を越えるOB・OG・現役が参加して剣を交え、いつもの道場は所狭しと熱気に沸きました。なにせ人数が多いので11時に一旦終了し、後は12時まで有志による自由稽古を行ったというほどです。
 新宿剣連からは私と岩切副会長、伊澤理事長が稽古に特別参加いたしました。本会卒業者には、社会に出てからもしっかりと稽古を続けているOBが沢山おられます。稽古後、「由緒正しき剣筋が多く…、全国津々浦々でご活躍されており、心強さを感じる次第です。さらなるご精進をお祈りします。」と、講評を述べさせていただきました。
 祝賀会は午後2時から、新宿の「ハイアット・リージェンシー東京」地下1階のセンチュリールームで、400人近い関係者が集い盛大に開催されました。
 約3時間に及ぶ祝賀会は、各期ごとテーブルに分かれ、それぞれ思い出話や剣談に花を咲かせていました。そしてクライマックスは全員で円陣を組み、懐かしの応援歌・校歌で締めくくられました。まこと壮観なフィナーレでした。
 さて、同好会は、つねづね本学の体育会剣道部と比較され、ややもすれば亜流で軟弱な存在と思われている向きがあると聞きます。
 しかし、多くの皆さん方が同好会に入会された動機は、〝勉学に比重を置く〟学生の本分に基づいた、志高く強い意志よるものと考えるものです。
 本学の剣道部に入部したならば、大学の名誉を旗標とした勝利主義様に組み入れられ、剣道の修業目的が大会で好成績を上げることに集約されてしまうことになりかねません。
 広く剣道界の中には「純粋に道を求める」という考えのもと、勝利主義あるいは鍛錬主義的なものを好まない方もたくさんおられます。早稲田同好会の皆さん方も、きっとこういった指向によるものと、その志に賛意を表するものです。
 残念なことですが、最近、同じ武道人の中で、オリンピックの金メダル取得という輝かしい実績を残しながら、不埒な行為を犯し逮捕されるという事件がありました。おそらく彼も幼少の頃から心血を注いで修業したはず。日々の練習で培った強靱な心と身体は、…
 このたびの事件を思うと、はたして武道の「道」とは何なのか、と、つくづく考えさせられました。
 いったい、「武道」とは、何か。もう一度よく考えてみる必要があるようです。

 「日本武道協議会」では、昭和62年(1987年)に「武道憲章」を定めました。
 この武道憲章は、「日本古来の、心技一如の教えに則り、礼を修め、技を磨き、身体を鍛え、心胆を錬る修業道・鍛錬法として洗練され発展してきた。このような武道の特性は今日に継承され、旺盛な活力と清新な気風の源泉として日本人の人格形成に少なからざる役割を果たしている。…中略… 我々は、単なる技術の修練や勝敗の結果にのみおぼれず、武道の真髄から逸脱することのないよう自省するとともに、このような日本の伝統文化を維持・発展させるよう努力しなければならない。」との前文を掲げた上で、下記の6ヵ条による基本的な指針を示しています。
 この武道憲章が意図するものは、まさに人間教育であります。われわれ武道を志す者は、この武道憲章を熟読玩味し、いまいちど根本に立ち返る必要があるのではないでしょうか。
 そういった意味で、剣の道に純粋にいそしみ、同好会活動の交流の中で、豊かな人間性を育み、大学を巣立ったのち、各方面で立派な社会人として活躍しておられる早稲田大学剣道同好会OBの皆様方に衷心より敬意を表するものです。
 本会のさらなる発展と会員の皆さま方のますますのご活躍と剣道のご精進を心よりお祈り申し上げます。

集合写真 祝賀会

つづく

武道憲章

(目的)
第1条 武道は、武技による心身の鍛錬を通じて人格を磨き、識見を高め、有為の人物を育成することを目的とする。
(稽古)
第2条 稽古に当たっては、終始礼法を守り、基本を重視し、技術のみに偏せず、心技体を一体として修練する。
(試合)
第3条 試合や形の演武に臨んでは、平素錬磨の武道精神を発揮し、最善を尽くすとともに、勝っておごらず負けて悔まず、常に節度ある態度を堅持する。
(道場)
第4条 道場は、心身鍛錬の場であり、規律と礼儀作法を守り、静粛・清潔・安全を旨とし、厳粛な環境の維持に努める。
(指導)
第5条 指導に当たっては、常に人格の陶冶に努め、術理の研究・心身の鍛錬に励み、勝敗や技術の巧拙にとらわれることなく、師表にふさわしい態度を堅持する。
(普及)
第6条 普及に当たっては、伝統的な武道の特性を生かし、国際的視野に立って指導の充実と研究の促進を図るとともに武道の発展に努める。

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Author:新宿区剣道連盟
「井蛙剣談」への思い

 「井の中の蛙大海を知らず」と自覚しつつ
「井の中は誰よりも知っている蛙」に成り代わり書き進めてまいります
つたなき指導の一環とお受け止めいただければ幸いです
               真砂 威

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